研究概要 |
日本の金融自由化が1975年に始まったとするともうすでに20年以上経過していることになる。この研究の目的は実証的に日本の金融自由化が日本の地方銀行業の共謀度、又、超過利潤の永続性に与えた影響などを推定することである。 そのため,今年度、まず,これまでの日本の銀行業に関連する研究を整理した。多数の研究から銀行業成果が市場集中度と正の相関関係にあり,同時に市場集中度が高いほど銀行の技術的効率性も高いという結果が得られている。一方,日本の銀行業の共謀が高く,共謀度と市場集中度の間に正の相関関係があるという結果を得た研究もある。 しかし、これまでの研究では,数年のデータしか使用していないため、日本の銀行業の競争状況、又金融自由化が与えた影響を推定するには充分とは言えない。そのため、長期のデータを集め、2つのモデルを使用し、研究を進めることにした。1つは推測的変動(conjectural variation)モデルである。このモデルを使用し、銀行業の共謀度が推定できる。もう1つはしばしば投資論とインフレ論で使用されている部分調整(partial adjustment)モデルである。このモデルを使って、銀行業の長期利潤率、又、銀行業の利潤率がそれに近づく速度、すなわち超過利潤の永続性が推定できる。この2つのモデルを日本の銀行業にあてはめることにし,次にデータを集めた。自由化以前とそれが始まってから現在までの共謀度と超過利潤の永続性を推定するべきであるため,1965年から現在までの約30年間のデータを集めた。その後、集めた30年間の時系列クロス・セクションのデータ、すなわちパネル・データをコンピュータに入力した。このデータの分析、すなわちモデルの推定などは来年度の作業になる。
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