研究概要 |
日本の金融自由化が1975年に始まったとするともう既に20年以上経過していることになる。この研究の目的は実証的に日本の金融自由化が日本の地方銀行業の共謀度、又、超過利潤の永続性に与えた影響などを推定することである。 これまでの研究をまとめると、銀行業成果が市場集中度と正の相関関係にあり,同時に市場集中度が高いほど銀行の技術的効率性も高いという結果が得られている。一方,日本の銀行業の共謀が高く,共謀度と市場集中度の間に正の相関関係があるという結果を得た研究もある。しかし、これらの研究では,数年のデータしか使用していないため、日本の銀行業の競争状況、又金融自由化が与えた影響を推定するには充分とは言えない。そのため、長期のデータを集め、2つのモデルを使用し、研究を進めることにした。1つは推測的変動(conjectural variation)モデルである。このモデルを使用し、銀行業の共謀度が推定できる。もう1つは部分調整(partial adjustment)モデルである。このモデルを使って、銀行業の長期利潤率、又、銀行業の利潤率がそれに近づく速度、すなわち超過利潤の永続性が推定できる。この2つのモデルを日本の地方銀行業にあてはめて、モデルを推定した。1965年から1995までの31年間の87行の日本の地方銀行業のデータを集めた。31年間の時系列クロス・セクションのデータ、すなわちこれはパネル・データなのでいくつかの統計的な問題, 自己相関,不等分散性などが存在する可能性がある。研究の進めた結果、これらの問題が存在したので、その問題に見合った推定方法を、すなわち一般化最小二乗推定方法を使用した。 2つのモデルを推定し,結果をまとめるとすると、日本の金融自由化が地方銀行業の共謀度、又、超過利潤の永続性に予想したよりあまり影響を与えておらず、今でも地方銀行業の共謀度と超過利潤の永続性が高いという結果を得た。
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