金融システムの安定性は、同時に金融政策の有効性及びその限界と密接に関連している。また有効性は資産選択行動に大きく依存するため、債券・株式価格の変動からどのような投資行動がとられ、変化してきたのかを実証分析を行い考察した。米国を中心に分析した結果、家計の相対的危険回避度が時代毎に可変的であり、そのことから従来の理論モデルでは十分に説明できず、逆に過去の株価ショックが後の期間に有意な影響を与えることが観察された。投資行動の不定さが金融政策を限界的なものとしていると判断することができる。また金融政策を実行する中央銀行が政府からどれほど独立しているかが、政策内容を決める一要因となることから、独立性の是非を信用秩序の維持の観点から英国を中心に制度・理論・実証的に分析を行うことができた政策決定の議事要目を詳細に分析することによって従来行われてきた独立性指数を求めて、各国中央銀行の独立性の程度を図ることは十分でないことが指摘され、さらに経済の目標インディケーターの将来値を確率分布に基いて推定する方法は、1意的とならざるをえないことから複数の政策目標をもつことの有用性を展開することができた。さらに金融機関への監督権限を政府か中央銀行のどちらがもつかによって信用秩序全体に影響を及ぼしかねないことから両者から独立した第3者機関を設立し、金融システムの安全性を図ることの有効性の条件を導出することができ、今後日本の制度改革の実施に一つの証左を与えることができた。
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