この研究の目的は、日本のリサイクル・チャネルの実態を知るために、主要な自治体と企業に対してアンケート調査を行い、廃棄物処理とリサイクルに関する現状と問題点を明確にすることである。アンケートの分析については、自治体と企業のリサイクルに対する意識の違いを明確にするために、統計解析ソフトを用いて「平均値の差の検定(t検定)」、「多重比較」などを行った。アンケートを分析して得られた結果の一部は、以下のとおりである。(1)資源を有効に利用するためにリサイクル型の社会をつくることには、企業の自治体は賛成する傾向にあるが、リサイクルにかかるコストを負担する主体を自治体、企業、消費者のいずれにするかについては意見が分かれている。すなわち、社会的費用の内部化を行う場合、受益者あるいは公共の負担にするかについては意識が異なる。この問題を解決するためには、廃棄物処理とリサイクルを促進する新たな総合的法律が必要である。(2)自体体は企業に対して、廃棄された商品を回収するルートの構築を求めている。これは容器包装リサイクル法の施行により資源ゴミの分別収集が自治体の義務となり、廃棄物処理の財政的負担が増加していることが大きな要因になっていると考えられる。(3)リサイクル型の社会を作るためには、消費者、企業、自治体の協力が必要であるという設問に対しては、肯定的な回答が多い。(4)メーカーのリサイクルと環境問題に対する意識は高い。その理由として「再生資源の利用の促進に関する法律(リサイクル法)」および「環境管理システム(ISO14000)」の影響が強いと考えられる。 以上の結果を中心にして、次年度のインタビュー調査では、自治体と企業の将来的なリサイクル対策を調べて、効率的な日本型リサイクル・チャネルのモデルを示したい。
|