この研究の目的は、日本のリサイクル・チャネルの実態について、自治体と企業に対してアンケート調査を行い、廃棄物処理とリサイクルに関する現状と問題点を明確にすることである。さらに、効率的な日本型リサイクル・チャネルのモデルを示すことが最終的な目的である。 今年度は9年度に実施した「資源循環(リサイクル)型社会の構築に関するアンケート調査」の結果に基づき、詳しい比較分析を行った。この調査では、資源循環型社会の構築について、自治体と企業の役割を整理し、その社会で自治体と企業が協力できる事項、各主体が抱える問題点及び意識の違いを明確にした。また、アンケート結果は、質問毎に特徴を示した報告書を作成し、回答者に郵送した。 次に研究及びインタビュー調査の結果を示す。第1に、循環型社会の構築については、自治体も企業も肯定的意見が多数を占めたが、循環型社会の構成要因を尋ねると意見は分かれた。今後の課題は、環境に与えてきた外部不経済を内部化することと、資源循環型社会における役割分担と費用分担の合意形成を行うことである。第2に、日本型リサイクル・チャネルを構築するためには、経済的インセンティブを製造、流通、消費の段階に組み込むことが必要である。例えば、廃棄物の効率的な循環システムを形成するためには、製品課徴金、排出課徴金、デポジット制度等を導入しなければならない。第3に、地域におけるリサイクルに対する協力体制を確立するためには、環境管理システム(ISO14000)の認証取得やエコタウン事業の推進により、リサイクルシステムの基盤を作ることが必要である。また、企業はゼロエミッションの実現や環境汚染物質排出・移動登録制度への対応が必要であり、それが企業間競争の重要な要因になると考えられる。
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