研究概要 |
企業における情報教育の実状を,卒業生と北陸地域の主な企業に対して,主にアンケートにて調査し,分析を行った.その結果,ホワイトカラーの一般作業階層にあたると考えられる最近の卒業生は,業務を遂行する上で,コンピュータ操作,情報活用能力,コミュニケーション能力,倫理判断能力の4つから成る情報リテラシーと呼ばれる能力が全般的に必要であることを認めているが,その教育は未だコンピュータリテラシー中心で十分ではない.また,彼らは新入社員に対して情報リテラシーを求めておらず,その一部であり,技術的な要素であるコンピュータリテラシーのみを重視する傾向にある.他方,企業側(主に総務,人事担当者に回答を要請)は,昨今の新入社員の情報活用能力,コミュニケーション能力の低さを嘆く傾向にある.彼らは業務につく前にそれらの能力が養われていることが不可欠であると答えているが,実状はその要請に伴っていない.そこで,ホワイトカラー一般作業階層と管理職との情報リテラシーに関する意識のギャップを埋め,配属後に業務を効率的に行えるような教育として,新入社員への情報リテラシー教育の導入が必要である.その際,既存の教育プログラムとの共存をはかるための教育方法として,情報リテラシーを人くくりにして教育を行う一括教育と,情報リテラシーとして教育すべき能力をこれまでのプログラムに分割して配置して,結果として情報リテラシーが備わるようにすることを目指す分割教育という,2つの教育方法を提案した.
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