初年度である今年度は、日本公認会計士協会から公表されている監査基準委員会報告書の第4号「内部統制」と第5号「監査上の危険性と重要性」に内容分析を問題意識として、公認会計士協会の役員をはじめとする公認会計士約30名に対し詳細なヒアリング調査を実施した。また、日本公認会計士協会資料室ならびに大手監査法人の東京事務所ライブラリを中心に、各種の資料収集を行った。 これらの結果、わが国の公認会計士監査(財務諸表監査制度)では、リスク・アプローチを唯一の監査意見形成の基本構造として位置づけ重要視されているにもかかわらず、実際に監査を行っている公認会計士の間ではリスク・アプローチに関する理解が必ずしも十分ではなく、実際の適用面で数多くの問題点が指摘されていることがあきらかとなった。特に、内部統制の評価やゴ-イングコンサーン問題に対して、公認会計士の意見はさまざまであり、監査基準委員会報告書が想定していないいくつもの問題点が認識された。 最終年度である翌年度は、これらの調査の成果を基礎に、研究論文として完成することを目指す。
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