本年度も昨年度に引続き、p進特殊関数を通した総実代数体(特に実アーベル体)のGreenberg予想の研究を行った。 まず、昨年度の成果である総実代数体の円分Z_p拡大におけるアンビグイデアル類群とp進ゼータ関数の特殊値との関係を、実アーベル体におけるそのx-成分とxに付随するp進L関数の特殊値との関係に精密化することに成功した。これはアーベル体に関する岩澤主予想(MazurとWilesが証明)を用いて成された。これによって、Greenberg予想の検証に重要な役割を果たすアンビグイデアル類群の位数の計算が、細分化された対象に対しても可能であることがわかった。この成果は第7回日本数学会国際研究集会「類体論-その100年と明日への展望-」で報告した。 また、もう一つの昨年度の研究成果である、実アーベル体の代数的λ-不変量とp進L関数に付随する解析的λ-不変量との関係に関する成果の応用として、p=3が分解しλ_3=0となる実2次体の無限族の存在証明に成功した。これまで奇素数pが不分解である場合にはこのような結果が知られていたが、分解する場合については全く知られていなかった。この研究成果は、Grazで開催されたICM98のサテライトコンファレンス「Conference on Algebraic Number Theory and Diophantine Analysis」およびSeoulで開催された「The 2^<nd> KIAS Number Theory Conference」(招待講演)で報告した。この周辺に関する研究は現在も継続中である。 今後の課題としては、より実効的に円分Z_p拡大のイデアル類群の情報を得る研究を行うことで、特にp-イデアル類群に注目し、p進特殊関数との関係を調べなから研究をしていきたい。
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