代数体上定義されたアーベル多様体に対して、Hasse-Weilゼータ関数が定義される。このHWゼータ関数をQM型アーベル曲面に的を絞って追求しようというのが本研究の目的である。 これは非常に難しい問題で、これを完全に行うには新しい概念(Grossen characterの非可換化?)の提出が必要であろうと思われる。これについては未だ五里霧中である。 しかし、平成9年度の研究によって、QM型アーベル曲面とGL_2-typeのアーベル曲面のつながりがかなり明らかになった。具体的には、QM型アーベル曲面がGL_2-typeとなるための条件を求め、判別式が6の場合、それを用い、QM型アーベル曲面でGL_2typeとなるものが無限個存在することを示した。 このGL_2-typeのアーベル曲面に関しては、そのHWゼータ関数が複素上半面上の保型形式のL関数と一致するであろうと予想されている。したがって、判別式が6の場合、QM型アーベル曲面で、そのHWゼータ関数が保型形式で書けるであろうと思われるものが無限個存在することになる。 以上が平成9年度の研究実績である。
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