研究概要 |
凸幾何学や代数幾何学との関連が捉えやすく、またヒルベルト関数等が比較的計算し易い次数付可換環として,affine semigroup ring,またはその一般化であるlattice idealが知られている.最近Sturmfelsらは,integer programmingの視点から,lattice idealの内でも特に扱いやすい性質を持った"generic lattice ideal"というクラスを定義した.今年度,申請者は,これのinitial idealが,Bayer,Peeva,Sturmfelsらが数年前から研究していた"generic monomial ideal"(を少しmodifyしたもの)になっている事を示した.generic monomial idealは,極小自由分解やヒルベルト関数が簡明に記述できるなど興味深い性質を持っているのだが,今回の申請者の研究によって,準素イデアル分解,特に理込素因子について,著しい性質を持つ事が分かった.現在は,一般のlattice idealのinitial idealについても,同種の事が成り立っていると予想し、数理研に滞在中のSturmfels氏と共に研究中である. 上記の結果の内,比較的早い時期に得られたものは単著の論文"F_△ type free resolutions of monomial ideals"にまとめ,既にProceedings of the American Mathematical Society誌に受理されている.また,ほぼ同じ内容を「第19回可換環論シンポジウム」でも口頭発表した. 前年度に投稿していたBallico氏との共著論文"On the h-vector of a Cohen-Macaulay domain in positive characteristic"も,今年度に入って一部修正を加えた後,Communications in Algebra誌に受理された.
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