本研究では、(一般)有限擬フロベニウス(FPF)環の性質・構造解明を進めた。特に、可換環及び(フォン・ノイマン)正則環上の(一般)FPF性に関して以下の結果を得た。 1.“Rings whose invertible ideals correspond to finitely generated overmodules"(in press) 2.“On regular rings whose cyclic faithful modules contain generators II"(to be submitted) 1では、C.Faithによる可換FPF環の構造定理の精密化、一般化となる結果を得た。まず、「可換環上のFPF性は、商環の有限生成忠実部分加群の射影性に他ならない」ことを示し、これにより、可換FPF環の構造定理における有限生成忠実イデアルの射影性の条件を落とすことが出来ることを明らかにした。また、零化イデアルに関するある“simpleな"条件による可換FPF環の特徴付けを与え、更にそれが商環の部分環の整閉性、平坦性、及ぴ(Manisの)付値環と密接に関連していることを解明した。 一方、正則(一般)FPF環の構造は、「商環の有限生成忠実部分加群が単元を含むアーベル正則環上の行列環の直積」で決定付けられているが、正則環上の(一般)FPF性の左右対称性の問題が未解決であった。2でこれを肯定的に示し、更に非正則の場合は左右非対称であることを明らかにする一つの環を構成した。 以上の研究を更に継続・発展させ、一般FPF環、特にそのsingular因子の構造解明に向けた研究を進めていく計画である。
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