本研究は、平成9年度からの継続研究2年目(最終年度)の研究である。 平成10年度では、前年度からの研究を更に推し進め、一般有限擬フロベニウス環の性質・構造解明と、それに関連する問題解決のための研究を行った。その結果、 1. 日本数学会代数分科会(平成10年9月30日〜10月3日、於大阪大学) 2. On regular rings whose cyclic faithful modules contain generators II(投稿予定) において、フォン・ノイマン正則環上の(一般)有限擬フロベニウス性の左右対称性の問題を肯定的に解決し、また正則でない場合、この対称性が成り立たないことを示す環を構成した。更に、 3. 「Quasi-Frobenius環の周辺の最近のトピックス」(平成10年7月、於山口); 4. 「Algebra Colloquium at Pusan National University」(平成10年10月、於釜山国立大学、韓国); では、大城紀代市(山口大学理学部教授)氏との共同研究により、「入射的半準素環はアルチン的、即ち、準フロベニウス環になるか?」という長年の問題、いわゆる「Faith予想」の解決に関連する、局所半準素環の入射性の判定条件と、局所準フロベニウス環の具体的な一つの構成法について発表した。 以上の研究を更に継続・発展させ、一般有限擬フロベニウス環、特にそのsingular因子の構造解明、更に「Faith予想」の解決に向けた研究を進めていく。
|