E_τアルティン群から種数3写像類群への全射のカーネルが、部分アルティン群の中心の生成元の間の簡単な関係式で書けることは示した。より一般に、種数g写像類群のアルティン群の中心による美しい表示を与えた。この結果は、Mathematische Annalenに発表予定となった。また、ガロア群のprofinite基本群への作用が、写像類群の作用の像をすっぽり含むような代数曲線が無数に多いことを玉川安騎男氏とともに示した。 60個存在するE_τヘッケ環の表現のうち、30個は種数3写像類群の表現に伸びることがわかったが、肝心のパラメーターqは±1に特殊化しないとならないことがわかった。これらのeccentricな写像類群の表現がどのようなものなのかは、今後の課題である。一方、種数g平面4次曲線のモジュライ空間のorbifold基本群は、パラメータつき表現を持つことがわかった。 河野俊丈-Drinfeldが量子群を用いて証明したように、複素平面上のn点の配置空間から得られる組紐群のuniversal monodromy表現は、射影直線から3点を除いたもののuniversal monodromyによって代入・合成により記述できる。この事実を、伊原-Deligneらによるtangential morphismを用いて再証明することができた(と思う)。この手法は、より一般の配置空間(特異点の変形空間など)に一般化できると思われる。
|