研究概要 |
代数曲線に付随する外Galois表現の像の大きさの評価を中心的課題として研究を行なった。研究内容を大きく二つに分けて記す。一つめは、代数曲線の副l基本群への作用から定まるGalois表現のLie環化に関する、Galois像の大きさやLie構造についての研究である。特に1点抜き楕円曲線の場合に、高次配置空間を考察して新たな結果を得た。まず、楕円曲線上の3点配置空間を考えることにより、従来知られていなかったGalois像に関する条件を得た。特に、この条件が従来のものと真に独立であることを、計算機を用いた大がかりな計算により確かめ、これによって低次の幾つかの部分についてGalois像を決定した。又、それとは逆に、より高次の配置空間を考えた場合には、種数0の場合に知られていたものと類似の或る種の安定性があることを、若干の条件下で示した。以上の結果の一部を、「Galois Groups and Fundamental Groups」研究集会(1997年6月、ドイツOberwolfach数学研究所、この集会への参加は当該科研費補助によらない)で発表した。二つめは、P^1\{0,1,∞}に付随する副有限なGalois表現の像についての研究である。この像はGrothendieck-Teichmuller群と呼ばれる群に含まれることが知られているが、更にその中でGalois像が満たすべき新しい型の関係式が、近年幾つか見つかっている。本研究に於いては、P^1上の5点配置の空間の或る商にP^1\{0,1,∞}を埋め込むという手法により、更に新しい型の関係式を発見した。この結果の一部は、講演「Grothendieck-Teichmuller群内でGalois群の像が満たす新しい型の関係式」(「整数論シンポジウム」、1998年3月、於早稲田大理工総研)、で発表した。又、日本数学会年会(1998年3月、於名城大学)でも同名の一般講演を行なう予定である。以上の両研究とも、更に考察を加えて論文として発表すべく準備中である。
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