射影多様体の代数的不変量であるCastelnuovo-Mumford regularityについての研究を中心に進めました。Castelnuovo-Mumford regularityとは、射影多様体の定義方程式の複雑さ、別の言い換えでは、定義イデアルのシジジ-の生成元の次数で決まる不変量です。特に、計算代数幾何の側面からもこの不変量は、最近さかんに研究されています。この上限をその射影多様体の他の基本的な不変量、つまり、次数、余次元、Ellia-Migliore-Miro Roig数を用いて表す不等式は知られていますが、ここでは、その不等式の等号を満足する射影多様体の分類を考えました。余次元に比べて次数が十分大きい多様体については、その等号をみたすものは、有理線織曲面上の因子に限るという結果を得ました。さらに、その因子を分類しました。また、Ellia-Migliore-Miro Roig数の超平面切断での振る舞いについても継続して研究しています。これらの研究成果の一部は、ノートルダム大学(アメリカ合衆国)での国際会議でも発表しました。 この他には、多項式イデアルの算術的次数および幾何学的次数について研究を行いました。以前からの研究してきた結果を見通しがよい形に整理して論文をまとめました。特に、これらの不変量の平坦族での上半連続性、下半連続性についての話題、および、幾何学的次数の上限を多項式イデアルの次数で表わすことについての話題を研究しました。
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