射影多様体の代数的不変量であるCastelnuovo-Mumford regularityについての研究を平成10年度に引き続き、発展的に進めました。Castelnuovo-Mumford regularityとは、射影多様体の定義方程式の複雑さ、別の言い換えでは、定義イデアルのシジジーの生成元の次数で決まる不変量です。 射影多様体のregularityの上限を基本的な不変量、つまり、次数、余次元、Ellia-Migliore-Miro Roig数を用いて表す不等式は知られています。また、その不等式の等号を満足する射影多様体の分類については、平成10年度の私の研究により、標数0の場合の結果を得ることができました。 この研究成果については、カターニャ大学(イタリア)での国際学会において研究発表をしました。また、その研究発表のあと、Edoardo Ballico教授(トレント大学、イタリア)を研究打合せを行ない、基礎体の標数が正の場合についての共同研究をその後も続けた。その結果、その等号を満たす射影多様体は、標数が正の場合も、標数が0の場合と同じく、有理線織曲面上の因子に限るという結果を得ました。それについて共著論文を書きました。標数が正の場合の結果は、有限可移群の分類についての結果を応用した点でも特徴があります。
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