複素射影空間におけるケーラー磁場の軌道や円の性質を部分多様体という構造を通して考察した。ここでは部分多様体上のケーラー磁場の軌道や円が全空間ではどのように見えるかという点を基礎にした。 まず、第一標準埋め込みfにより複素射影空間をユークリッド空間に埋め込んでみた。このとき、複素射影空間上の曲線cがケーラー磁場の軌道であるための必要十分条件は、埋め込みによる像f・cがユークリッド空間の円になっていることであり、第一標準埋め込みは、埋め込みの中でこの性質で特徴づけられることがわかった。 次に複素射影空間の6種類の等径実超曲面を考える。超曲面の法ベクトルに複素射影空間の複素構造を作用させた方向をξとする。等径実超曲面ではξ以外の主曲率方向へ延びる測地線は複素射影空間上の円になっていることが知られていたが、この性質で等径超曲面を特徴づけることに成功した。すなわち、ξと直交する方向でその方向に延びる測地線が円に見える方向が接空間のξと直交する部分ベクトル空間を各点で生成するならば、そのような超曲面は等径であることが示された。 以上のような研究の過程で、当初予定していなかった螺旋についてのいくつかの結果を得ることもできたが、ケーラー磁場とシュレディンガー作用素との関係に関しては未解決部分が残った。
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