一昨年、Witten-Rozanskyにより、超ケーラー多様体を用いて、新たな3次元多様体の不変量が構成できることが、提唱された。これは、以前から知られていた3次元多様体の不変量、Chern-Simon不変量とよく似た構成をしており、Chern-Simon不変量の構成において、リー群が果たしていた役割を今度は超ケーラー多様体が果たしている。例えばBianchi恒等式がJacobi恒等式に対応している。この不変量はその構成を含めて、非常に興味深いが、現在、超ケーラー多様体がコンパクトの場合しか、定式化されていないため、その不変量としての性質などが解明されていない。実際、コンパクトな超ケーラー多様体はノンコンパクトなものに比べて非常に少ない。 そこで、筆者はノンコンパクトな超ケーラー多様体のクラスとして対数的なケーラー多様体というものを導入し、このクラスではWitten-Rozanskyによる不変量が自然に一般化され矛盾なく、構成されることを示した。特に、対数的アテイヤークラス、対数的層係数コホモロジーを用いることにより、この不変量が超ケーラー多様体の計量には依存しないことが示せた。またChern-Weil typeの定理がこの対数的アテイヤークラスに関して成立している。 交付申請書に書いたように、超ケーラー多様体の重要な例として、モノポールのモジュライ空間がある。筆者はモノポールの場合にこの不変量を具体的に求め、3次元多様体に応用したいと考えている。
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