研究概要 |
現在,内外の多くの研究者によって,様々な幾何学的対象(結び目,絡み目,空間グラフ,平面曲線,ジェネリック写像,可微分多様体-spin 3-manifolds,homology 3-sphere,etc,実代数曲線,など)に対する"vassiliev型不変量"の研究が押し進められている.本件では,V.A.Vassiliev自身による結び目不変量の構成方法を基にして,generic写像に対する"Vassiliev型不変量"の研究を行った.特に,閉n次元多様体M^nからEuclid平面R^2へのC^∞安定写像f:M→R^2のisotopy同値類に対する「次数1のVassiliev型不変量」の構成を行った,すなわち,A-有限確定多重写像芽の分類と分岐図式の解析から得られるVassiliev複体のhomologyを計算し,興味深いisotopy不変量を導くことができた.これらの不変量について,現時点でまだ不明な点が多く解明すべきことが沢山あり,低次元トポロジーの研究者と情報交換を進めている状況である.結果の一部は,平成9年7月に開催された全日本トポロジーシンポジウム,及び平成9年9月に開催されたWorkshop Singularities and Related Topics"(長春市,中国)において報告した. 一方で,複素解析的特異多様体に関するチャーン・ホモロジー特性類について研究を行った.ホモロジー特性類はたくさんの異なった種類のものがあり,それらの差異は特異多様体のsingular lociにsupportを持つようなホモロジー類にある.ここでは,孤立特異点のみ許容する完全交互解析的多様体に対して3種のホモロジー特性類Chern-Schwartz-MacPerson特性類,Chern-Mather特性類,Fulton's canonical特性類と孤立特異点の位相不変量(Milnor number etc)との間の関係について研究した(與倉昭治氏(鹿児島大),諏訪立雄氏(北大)との共著など).さらに現在,複素解析的写像f:M→Nの臨界値集合(discriminant set)のホモロジー特性類に関する研究を進めている.
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