研究概要 |
射影平坦かつ捩れをもたないアフィン接続∇が与えられた3次元以上の単連結多様体Mの(射影)展開写像について研究し、次の結果を得た:接続∇は対称かつ負定値なリッチ曲率をもち、M上にある点pを始点とする測地線はすべてアフィン径数に関して無限に延ばせる、と仮定する。このとき、(M,∇)の(射影)展開写像は単射であり、像はアフィン空間の有界凸集合となる。 この結果の系として、上の仮定を満たす(M,∇)は側地的凸かつ測地的完備であることが示される。また、逆に上の結論を満たす(M,∇)に対して、その展開写像の像の境界がある程度滑らかならば、仮定の条件を満たす接続∇′で∇に射影同値であるものが存在することも示された。これらの結果は、コンパクトな射影平坦多様体の構造の研究を今後進展させていく上で、有益であろうと思われる。 その他、上の研究に並行して、共形平坦な多様体の(共形)展開写像についての考察のすすめており、特にミンコフスキー空間の光錐の部分多様体の性質についていくつかの観察をおこなった。その結果、与えられた充分一般的な共形平坦多様体には双対が存在すること、それを用いて共形構造を変形させられることが見つかった。これらのことがらをより詳しく調べることは、これからの研究課題としたい。
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