研究概要 |
本研究では、4次元多様体上の計量構造(Riemann構造・(2,2)型計量構造)と他の幾何構造(複素構造・symplectic構造・Kahler構造)との関係を調べ、特に、(2,2)型共形構造の自己双対性に関連して最も重要と思われる、(2,2)型超Kahler構造を扱った。 正定値の超Kahler構造の場合と同様に、(2,2)型超Kahler構造についても、計量の自己双対性およびRicci平坦性が示される。また、(2,2)型超Kahler構造の基本形式は、3つのsymplectic構造を定めることが容易に分かるが、逆に、次の結果を得た: 命題.(Ω_1,Ω_2,Ω_3)を、4次元多様体上の次の条件を満たすsymplectic構造の組とする: -Ω^2_1=Ω^2_2=Ω^2_3, Ω_2∧Ω_3=Ω_3∧Ω_1=Ω_1∧Ω_2≡0. このとき、これらを基本形式とするような(2,2)型超Kahler構造が一意的に定まる。 空間がコンパクトの場合には、上記命題およびT.Draghiciの結果を用いると次が分かる:コンパクト(2,2)型超Kahler曲面は、複素トーラスまたは第一種小平曲面のいずれかに限る。特に、K3曲面は、(2,2)型(超)Kahler構造を許容しない。 これらの空間上の(2,2)型超Kahler構造の存在について次の結果を得た: 定理.全ての複素トーラスおよび全ての第一種小平曲面上に平坦な(2,2)型超Kahler構造が存在する。さらに、楕円曲面の場合には、平坦でない(2,2)型超Kahler構造も存在する。特に、全ての第一種小平曲面は、平坦でない(2,2)型超Kahler構造を許容する。
|