複素アファイン代数多様体上の代数群Gの代数的群作用について次のことを明らかにすることができた. 1 同変ベクトル束のつくるモジュライ. 底空間のalgebraic quotientの次元が2次元以上の場合は、その上の同変ベクトル束のつくるモジュライについては、特別な場合を除いてはこれまでほとんど何も知られていなかった。このたびの研究において、底空間がG表現空間で、2次元以上のなめらかなalgebraic quotientを持ちさらにファイバーが“ある条件"をみたせば、一般に同変ベクトル束のつくる"モジュライ"は無限次元となることを示すことができた.また、アファインquadric上の同変ベクトル束についてはこれまで全く調べられていなかったが、アファインquadric上の同変ベクトル束のつくるモジュライも一般に存在し無限次元となることを示すことができた. 2 固定点集合が低い余次元を持つ場合のGm作用. 非特異アファイン代数多様体上の1次元代数的トーラスGmの作用について、固定点集合が低い余次元を持つ場合にいくつかの結果を得ることができた.特に3次元アファイン空間A^3にGmが作用しているとき、Gmの固定点集合Wが既約な超平面となるならば、WはA^3の座標平面となることを示すことができた.またさらに、Gm作用による3次元非特異アファイン代数多様体の特徴付けを得ることができた. 3 Gm作用をもつ場合の一般ヤコビアン問題. Xをなめらかな代数曲面とする.“X上のエタールendomorphismは同型射か?"という一般ヤコビアン問題について、XがGm作用をもつ場合にさまざまな結果を得ることができた.特にXがPlatonic A^1-fiberspaceである場合の結果はヤコビアン予想の解決へのひとつの手がかりを与えるものである.
|