研究概要 |
本年度及び来年度の研究テーマでは,代数的場の理論から得られる部分因子環の構造解析を目標としています. 研究目標達成ための情報交換・収集等の場として,関数解析研究会,作用素論・作用素環論研究集会,「作用素環の変化」,「C-*環とその応用」,などの研究集会に参加しました.そして,東北大学などでの勉強会にも参加しました.また,数理物理学の一般書籍を購入し,場の理論の物理的側面の理解を深めました.本年度は残念ながら情報交換等のため外国,特にイタリアやフランスに出かけることはできませんでしたが,次年度には研究成果の発表に行く予定です. 今年度は九州大学での「作用素論・作用素環論」研究集会にて「On commuting canonical endomorphisms」なるタイトルで講演を行いました.標準的自己同型写像はジョーンズの指数理論においては強力な道具でしたが,2つの標準的自己同型写像の可換性が現れる2つの状況についての考察を与えました.可換・余可換な四つ組の場合と一般の2つの包含関係の積に対する場合です.そして両者ともカッツ環の構成に関係があります.これらのことは論文にまとめあげる予定です.ここでの考察は,一般には条件付期待値が存在しない包含関係(部分因子環)の考察に標準的自己同型写像が有益であることを主張するもので,この方針で場の理論からくる因子環の構造を見たいと思います.
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