研究概要 |
ユニタリ表現の分岐則を調べることは,表現論の最も基本的な問題の一つである.しかし,非コンパクトなリー群の場合,その困難さゆえに過去50年間,非常に限られた設定でしか実質的な研究がなかった。申請者がInvent.Math.(1994)において提唱した「離散分解可能モデル」はユニタリ表現の分岐則の問題を考えるにあたって,「重要かつ良いクラス」を抽出し,そのクラスに限って深い研究を目指すものである。今年度の研究成果の主たるものは以下の通りである. i)「離散分解可能モデル」の基礎づけを与え(文献Annals of Math,;Invent.Math.の両紙に掲載予定), ii)(i)を用いたトポロジーへの応用として,モジュラー多様体の消滅型定理を与えた(織田孝幸氏と共同;文献Comment.Math.Helveticiに掲載予定) iii)(i)を用いて新しい離散系列表現の発見と構成を行った(文献J.Funct.Anal.他). iv)擬Riemann等質多様体における不連続群の変形を研究した(文献Math.Ann.). v)簡約型等質多様体の不変測度の漸近挙動を研究した(文献Crelles J.). 今年度は,20回以上の講演(国際会議や国外での招待講演6回を含む)を行った.その内容の幾つかのものは上記の論文で発表し,その他のものは,来年度以降に,論文および著書の形で発表する計画である.
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