研究概要 |
量子電磁気学や量子光学に現れるモデルのスペクトル解析を行った。 (1) 量子光学において、相関関数を観測データとして量子系のランジュヴァン型方程式をたて、それを解くことで、相関関数から回転波近似のハミルトニアンを決定するという有限温度の場の量子論における逆問題を解いた。この逆問題の解を無限体積系の相関関数の長時間挙動を調べることに応用した。(J.Math.Soc,Japanに掲載予定) (2) 量子電磁気学や量子化学に出てくるスピン・ボゾン模型の最低固有エネルギーの値は、物理や化学では近似的な表現を与えることしかできなかったが、厳密かつ具体的な表現公式を与えることに成功した。(J.Funct.Anal.に掲載予定) (3) 円状の欠陥がある材料表面を量子力学的粒子が運動することを想定して、平面から円を抜き去った空間で、運動量演算子と位置の演算子によるハイゼンベルグとワイルの正準交換関係を調べた。この正準交換関係とアハラノフ・ボーム位相との関係も論じた。
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