研究概要 |
(I)包合的な2重表象を持つ双曲線微分方程式でもっとも基本的なクラスに対する、超局所的な解の影響領域に関する最良の結果を導いた。このクラスの方程式の特性多様体の特異的な部分は余接束の余次元2の包合的な部分多様体となり、2つの超局面の交わりとなっている。交わりの部分の点の近傍で定義されたマイクロ関数解がその点でいつ0になるかという十分条件を与えた(影響領域)。すなわち、考えている点を通る2次元の陪特性帯において、辺が2つの超局面のどちらかの因子の陪特性曲線になっている「四角形」を考えて、その3点で0であれば、残りの1点でも0であるという結果である。この結果は単なる特異性の伝播の結果ではなく、考えている方程式のsemiglobalなマイクロ関数の空間における可解性も必要とする結果である。今後は、解の構成を扱うことが問題となる。 (II)柏原の構成した2-microfunctionsの層は、マイクロ関数の層Cより大きい2-hyperfunctionsの層を分解している。戸瀬により、2-microfunctions解に対する双曲性は研究がすでになされていた。そこで、問題となるのが、マイクロ関数を分解した小さな2-microfunctionsのクラスに対する片岡-戸瀬の層に対する双曲性を可解性も込めて考えることである。この問題が、非常に難しいことを示す微分作用素の例を求めた。この例は、非常に単純であるが、2-microfunction解の意味では双曲型であるが、片岡-戸瀬の層においては、可解でないことが示された。 (III)2-hyperfunctions,2-microfunctionsを局所Fourier逆変換の言葉で記述する結果を導いた。microfunctionsは、局所Fourier逆変換を通してシンボルとして記述出来るが、2-hyperfunctionsは、ある条件を満たすシンボルの列として記述される。この結果は、今後Lagrangeanに沿った場合への拡張が期待される。
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