集合値写像の凸性と半連続性に関する性質を解析するために、その最近の研究結果を論文の別刷りやコピーとして収集した。これらの資料をもとにして研究を行い、これまでの結果を包含する結果が得られた。大きく分けると、以下の4つの内容の結果を発表することができた。 1.これまでのベクトル値関数に対する鞍点定理やミニマックス定理を集合値写像へ拡張するために、集合値写像の凸性や半連続性を考慮した集合値解析及び集合値最適化の研究を進めた結果、集合値写像の凸性に関する体系的な結果を得ることができ、論文として発表することが出来た。 2.上記の1に基づいた錘鞍点の存在定理の証明に取り組むため、ベクトル値関数に関する鞍点定理やミニマックス定理の見直しを行い、体系的にまとめることができた。これを国際研究集会で発表すると同時に論文としてまとめることができた。 3.ベクトル値最適化問題の応用として、ベクトル値関数を目的とする大域的最適化問題の研究を行った。最終的に、アルゴリズムの実装までを視野に入れていたために、古典的な大域的最適化のアルゴリズムの見直しから始めた。その結果、いくつかの問題点が明らかになり、これを実数値関数の場合から解決することを試みて、大体の解決策が見つかり、国内の研究集会で論文として発表することができた。 4.上記の1を基礎にして、ロシアの研究者と多目的繰り返しゲームに関する共同研究を行い、その研究者の指導する博士過程の大学院生を研究留学生として受け入れることで、その研究を基礎から洗い直すことにした。その結果、複数選択のある多段ゲームの内容から始め、いくつかの新しい知見が得られた。これを国内の研究集会で論文として発表することが出来た。
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