研究概要 |
本研究では、集合値写像の凸性と半連続性に関する性質を解析すると同時に、この基礎研究をもとにして、集合値鞍点定理や集合値ミニマックス定理の研究とその多規準ゲーム理論への応用を試みた。しかしながら、計算機による数値実験などは発表する結果までには至らなかった。主にまとめられた理論的な結果は以下の通りである。 1. ベクトル値関数の鞍点定理やミニマックス定理の体系的な結果をさらに洗練し、2つの国際学会で発表した。その結果、この内の1つの国際学会(International Conference on Multiobjective Programmin gand Goal Programming)の組織委員に次年度から加わることになった。 2. 集合値写像の半連続性に関する性質を実数値関数の上半連続性および下半連続性に対応する拡張の観点から解析し、実数値関数と集合値写像の合成関数に関する半連続性の連鎖性に関する結果を与えた。これは、国内で開催された国際研究集会で共同研究として発表した。論文は、その研究報告集に掲載される予定である。 3. ロシアからの研究留学生との共同研究の下で、多段階決定ゲームや協力ゲームの基礎研究を行い、いくつかの新しい知見が得られ、国内の研究集会で発表すると同時に論文としてまとめた。論文は,現在投稿中である。これらの研究をもとに、多規準意思決定問題としてのベクトル最適化理論の多規準ゲーム理論への応用を研究中である。
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