研究概要 |
我々は大規模連立1次方程式における高速な反復解法の開発および応用について研究のため,ランチョス・プロセスに基づく積型反復解法を理論的に定義した。この積型反復解法の定義から、一般化した積型反復解法の族を作り出すことができた。その中からパラメータ調整によって、CGS法、Bi-CGSTAS法などの既存の解法を簡単に導き出せた。また,我々はいくつかの新しい解法,GPBi-CG(ω)法,GPBi-CG法を提案した。 平成9年度の研究成果は次の通りである。 1.既に開発した新しい解法,GPBi-CG(ω)法,GPBi-CG法の収束特性をHelmholtz方程式などのテスト問題を通じて具体的に評価し,新しい解法が優れていることを確認した。 2.それらの積型反復解法における前処理の実装技術を研究する。 3.スーパーコンピュータ向けの並列技術を研究し,ブロック5重対角行列群のための新しい解法を提案した。 4.非正則行列計算等の特異な問題に新しい反復解法を適用する。そのときの解法の収束性を評価し,そして非正則行列の不完全LU分解について研究した。
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