研究概要 |
この研究では、多次元分割表としてまとめられたデータの解析方法について、構造モデルの利用を考えてきた。この研究の中心は、複数の2×2表の解析で用いられているMantel-Haenszel推定量をさまざまな構造モデルで適用可能にするための方法論を構成することであった。その一つの結果として、個体差の分布が異なる2群の比較におけるMantel-Haenszel推定量の適用の可能性とそのために必要な構造モデルの制約について明らかにした。この結果は、1998年の日本統計学会で「Mantel-Haenszel アプローチの応用」と題して発表している。もう一つ別の角度として、疫学研究で用いられるネスティッド・ケースコントロール研究におけるMantel-Haenszelタイプの推定法の拡張について研究を進めてきた。近年、この研究デザインに対して,counter-matchingという新しいコントロールの選択法が提案されており、その解析方法の開発を進める必要が生じてきている。ここでは、これまでの研究デザインである無作為抽出による場合とCounter-matchingを用いた場合の2つのコントロールの選択方法に対して、Mantel-Haenszelタイプの推定方法を構成した。この結果については、その一部を1998年に南アフリカで開催された国際計量生物学会で「Mantel-Haenszel type estimators for the counter-matched sampling design in nested case-control study」と題して発表するとともに、論文として現在投稿中である。また、この研究のなかでMantel-Haenszel推定量の新しい性質が明らかになってきており、この点については今後もさらに研究を進めていく必要がある。
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