赤方偏移1.1のクェーサーQ1335.8+1834の天域について、これまで取得していたデータをさらに詳しく解析し、このクェーサー付随すると思われる銀河団の姿をより明瞭にするとともに、その構成銀河のスペクトルについて調べた。その結果、銀河団は、さしわたり約1Mpc程度にひろがっており、さらに、これまでわかっていや領域を越えて、同じような色、光度を持つ銀河が、より低密度ではあるが非一様に分布していることがわかってきた。これは、銀河団が、より大きな銀河分布構造の一部を成しているという可能性を示唆する。また、楕円銀河と思われる銀河の色分布のちらばりから、これらの銀河に2Gyr程度の年齢の散らばりが存在するのではないか、との知見を得た。 この研究をさらに展開するため、可視域でのより広い領域をカバーする深い撮像観測を行い、赤方偏移は1.1のクェーサー集団に付随する超銀河団の存在を明らかにするための観測に着手した。データは現在、解析中であるが、観測領域に存在する他の3個のクェーサー周辺に、同じような銀河の個数密度の超過が見られるかどうかが興味深い。また、同じ研究の一環として、このクェーサー集団領域において、あすか衛生、ROSAT衛生を用いたX線のデータも取得し、現在解析中である。「あすか」のデータについて、これまで行った解析結果からは、クェーサーとならんで、よりハードなX線スペクトルを持つ天体が約半数を占めることがわかった。これらはクェーサー集団に付随する2型クェーサーの集団かもしれないと考えている。 一方、岡山観測所においては、中間赤方偏移のクェーサーについて、その環境を調べるための観測を行っている。これらは、すでに可視波長域で、クェーサー周辺に銀河団の存在が確認されているものを対象として、赤外線での撮像観測を行ったものである。取得したデータからはその色分布をしらべて、クェーサーに付随する銀河団とそうでない銀河団で、系統的な差異があるかどうかを調べる。データは現在解析中である。
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