研究概要 |
NGC6334(α=17^h17^m,δ=-35°50′,l=351°,b=0.7°)は距離1.7kpcに存在する質量2〜3×10^5M_<【of sun】>の大質量星生成領域・巨大分子雲(GMC)・HII領域である。ASCAの視野内に年齢の異なる5個の遠赤外線源(I-V)が存在し、若いOB型星が生まれている。これまでに赤外線や電波の観測が数多くおこなわれており、大質量星生成領域の研究に適した天体である。 遠赤外線源II,IIIを中心として、X線放射を検出した。X線のスペクトルは低質量星生成領域のX線に較べて非常に硬い。低質量星生成領域でのYSO(主にT-Tauri型星)ではプラズマ温度1-4keVであるのに対して、NGC6334では11keVと高温であった。X線の吸収によって求めた柱密度はN_H=1.1×10^<22>cm^<-2>と、赤外線の観測結果と一致する。分子雲領域からのX線放射量は0.5-10keVにおいて3×10^<33>erg/sである。これより、分子雲のコアから0.5pc以内でのX線の電離率はη>1×10^<-17>s^<-1>と推定され、分子雲の電離度を十分に説明できる。
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