X線衛星「あすか」が分子雲に埋もれた原始星からの硬X線を検出したことは、星形成における新たなブレークスルーであり、「あすか」の最大の成果の一つである。原始星のX線放射は、質量・磁場・角運動量と密接な相関があると考えられることから、星形成の研究において不可欠な研究課題である。しかし、原始星のX線放射については、「いつX線放射がはじまるか」「どのような機構でX線が放射されるか」といった基本的なことが全くわかっていない。これらの問いに答える目的で、X線放射原始星のミリ波・サブミリ波観測をおこなっている。ハワイ島のCSOでへびつかい座、南冠座、NG6334のX線放射原始星のサブミリ波観測をおこなった。サブミリ波CO(J=3-2)による分子流の超高速度成分の検出をおこなった。また、超高密度(n=10^7)をトレースするCS(J=7-6)輝線の観測をおこない、X線放射原始星に高密度分子雲コアが付随することを明かにした。これは、X線を放射する原始星が非常に若いことを示唆している。
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