衛星への搭載を目標とした場合、小型・軽量化および打ち上げ時の振動・衝撃に対する耐性が重要な要件となる。さらに遠赤外線領域で高感度の観測を行うためには、装置全体を極低温に冷却する必要がある。平成9年度では、フーリエ分光器の重要構成要素である可動鏡の駆動機構の開発を行った。軽量・小型化を想定しつつ極低温でも動作可能な2つの異なるモデルの試作を行った。両モデルはそれぞれ、Flex Pivotを回転軸に使用したシ-ソ-タイプと、平行板バネを使用した板バネタイプである。鏡の移動に対する安定性に関して、両者のモデルを常温で比較したところ、板バネタイプの方が優れた性能を得られた。ただし、両モデルとも要求される安定性は満たしている。振動・衝撃に対する耐性及び可動距離増加に対するフレキシビリティを考慮した場合、板バネタイプの駆動方式が優位であると判断できる。今後は板バネタイプの駆動方式を重点的に詰めていく。また、シ-ソ-タイプに関しても技術的に興味深い部分もあるのでこのまま継続して評価を行う。 駆動機構に加えて、鏡の位置を高精度で測定するシステムもフーリエ分光器の重要な構成要素である。これに関しては、渦電流センサー、レーザー干渉計、ハイデンハイン測長システム等を評価検討している。常温での評価ではいずれも十分な性能が得られることがわかった。レーザー干渉計とハイデンハイン測長システムの優劣は、駆動方式によっても異なる。板バネタイプを採用した場合は、ハイデンハイン測長システムの方が適していると思われる。 次年度は、駆動システム全体の極低温下での評価試験を行い、光学系と組み合わせて、フーリエ分光器として機能させる予定である。
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