本研究は、現在建設が計置されている、エネルギー50GeV、平均電琉10μAの大強度超伝導陽子シンクロトロンに加えて、二次粒子蓄積リングを建設・接続した場合に可能となる素粒子実験を検討することを目的としている。具体的には、大強度陽子ビームが固定標的に衝突し、その際生ずる二次粒子π中間子を蓄積リングに入射し、π中間子の崩壊粒子であるμ粒子を蓄積した場合に可能となる研究を挙げ、その研究が現在までの素粒子物理学の知見にどのような影響を及ぼすか考察する。本計画を実現する際、生成したπ中間子の運動量、空間分布を詳しく把握し、効率良く二次粒子蓄積を行なうことが特に重要となる。本年度行なわれた考察により、膨大な一次陽子ビームの中から二次π中間子の情報を選択的に取得する手法の試行が行なわれ、必要な要件を満たすためには、エネルギー弁別型チェレンコフ測定器の原理を利用するのが適切であると判断された。このシステムは 1. チェレンコフ測定器がスベッセル 2. チェレンコフ光測定用光電子増倍管 3. チェレンコフ光反射鏡 4. チェレンコフ光放射媒体であるフレオンガスの供給システム からなる。部品1から3には全て高放射線レベルに適応できる特殊な製品が必要となる。本動作原理を用いた試験測定器が製作され、大強度電子ビーム及びπ中間子を用いた基本的な動作の確認も行なわれ、必要要件を満たすことが確認された。
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