ゲージ相互作用の大統一模型の枠組みのもとで、トップクォーク対凝縮による電弱対称性の力学的破れのシナリオを考察した。トップ対凝縮を引き起こす南部ヨナラシーニョ相互作用は、大統一理論でのゲージ相互作用の影響でトリヴィアルではない連続極限を持つ場合があることを示した。したがって、通常のトップクォーク凝縮の場合と異なり、大統一理論の枠組みでのトップウォーク凝縮模型は、トップウォークの質量を理論の紫外切断のスケールに依らずに予言することができる。 このシナリオを実現するためにはゲージ相互作用の大統一が実際に起きていることが必要であるが、残念なことに低エネルギーで実際に測定されているゲージ結合定数は単純なSUSYなしの大統一理論の予言からおおきくはずれている。そこで、模型の最小の変更として、中間エネルギースケールにベクトル的クォークの存在を仮定し、SUSYなしでゲージ相互作用の大統一が起きる模型を選ぶ。この枠組みでのトップ対凝縮模型のトップクォーク質量への予言はm_t【.simeg.】224GeVとなる。 上記の研究に加え電弱対称性の破れにおけるカイカラ摂動論の研究も行った。これまでの電弱対称性の破れの有効理論の解析では、SU(2)×SU(2)のいわゆるカストディアル対称性を持つ群でのカイラル摂動論の解析が主であった。そこで、カストディアル対称性を仮定せず、電弱対称性の群SU(2)×U(1)でのカイラル摂動論の計算を行い、1ループのカイラル接道の計算にあらわれるカウンター項を実際に評価した。
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