研究概要 |
本研究では、数100MeVの中間エネルギービームによる荷電交換反応の測定を、純粋気体元素標的に対して高分解能で行う為、冷却トラップを用いた液体薄膜標的の開発を第一段階の主目的としている。最終的には磁気分析器との組合せで、特に水素混合物のバックグラウンドの影響を受け易い(n,p)型荷電交換反応を測定する事を目指しているが、本年度はプロトタイプターゲットの製作を行い、テストチェンバー中で冷却トラップの動作テスト、および酸素を用いた膜厚の温度依存性の調査を行った。現在までの所、目標とする数十ミルグラム毎平方センチの厚さは達成されておらず、サポートとなるアルミニウム薄膜とのS/Nが問題となる為、今後解放型トラップと並行して密閉セル型の薄膜標的のテストも進めて行く予定である。一方、本研究の最終目的である磁気分析器を用いた測定においては、旧式化したデータ収集システムの能力の飽和が重大な支障となる事が、実験計画の見直しの結果明らかになって来た。データ収集系の改善を検討した所、最近オランダNIKEEF研究所および高エネルギー加速器研究機構で開発・発表されたドライバを使用する事により、これまでのCAMACベースのシステムをより高速なVMEベースに比較的容易に変更可能である事が判明した。現在、荷電交換反応の本測定に向けて、新データ収集系構築の準備が、冷却トラップ標的開発と並行して進められている。
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