研究概要 |
本研究の目的は、クーロン分解反応により中性子過剰炭素同位体^<15,17,19>Cの核構造を解明することである。これらの原子核は、最近中性子ハロ-構造の可能性が示唆され、注目されている。我々はこれらの原子核について、クーロン分解反応で得られる低励起E1遷移強度分布を求め、基底状態の密度分布の導出やスピン決定を行うことを目指している。 本年度は、^<17,19>Cのクーロン分解反応実験を行った。実験は、理化学研究所リングサイクロトロン加速器施設で得られる110MeV/uの^<22>Neビームを一次ビームとして用い、さらに核破砕片分離装置RIPSによって二次ビーム^<19>C(^<17>C)を得た。これらの二次ビームをPb標的と反応させ、放出荷電粒子^<18>C(^<17>C)と中性子の運動量ベクトルを同時測定した。運動量ベクトルから不変質量を組む事により、最終的には励起エネルギースペクトルが得られる。 現在までの解析で、^<19>Cのクーロン分解全反応断面積が810±250mbと求められた。この値は通常の原子核の断面積より1桁以上大きい値であり、^<19>Cの基底状態がハロ-構造を内包すること、またスピンは1/2^+であることを示唆している。今後は、不変質量の解析から、E1遷移強度分布を求め、スピン情報の最終決定や、一粒子状態の配位など、より本質的な核構造の解明を目指す予定である。
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