現象論的有効相互作用と一粒子基底とのconsistencyを保ち、原子核の系全体としての並進不変性、回転対称性、粒子数保存などの巨視的対称性の破れを「平均場+有効相互作用」模型の枠内で自然に回復させるための多体問題的枠組みについて理論的検討を行った。また、これまでに開発してきた「自己無撞着有効相互作用の理論」を更に展開し、考察下の系のnuclear self-consistencyやlocal Galilean invarianceの回復を指導原理として導かれる有効相互作用の速度依存性、変形依存性、アイソスピン依存性について検討した。 有効相互作用の導出法については、幾つかの異なる方法を比較するため、cranked harmonic oscillator potential model 等の解析的模型について検討を行い、四重極相互作用の場合には、Landauの方法とvibrating potential modelの方法(field couplingの方法)で、同等の変形依存性および回転角速度依存性を有する有効相互作用が得られることを確認した。 また、従来の非圧縮・非回転的な集団的速度場のモデルを、変形したアイソスピン依存場に対して拡張し、自己無撞着有効相互作用の理論を応用することによって、集団的多重極振動モードに関係する分離型多重極相互作用の変形依存性とアイソスピン依存性を統一的に検討した。その結果、ダブルストレッチ型多重極相互作用の結合定数のアイソスピン依存性を明らかにした。また、この様に改良された本質的にはアイソスカラー型の集団的運動モードに直交する、本質的にアイソベクトル型の集団的運動モードを構築する方法について、reduced isospinの概念を導入することによって新たな有効相互作用模型の提案を行った。
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