通常の光円錐量子化では光円錐方向座標であるx^-に関して周期境界条件または反周期境界条件を置く。しかし、この境界条件によって結び付けられる2点はヌル測地線でつながる点であり、因果的に無関係ではない。場をFourier展開して演算子化するという従来の量子化方法ではこの境界条件を取ることは不可欠であったが、因果的に結び付く2点での場の値を関連づけるような境界条件を取ることは本来許されないことである。本研究のの目的である真空の構造を考える際にも、このような境界条件の問題は重要になってくる。 本研究では、このような境界条件を取ることなく、したがってFourier変換を使うこともなく、場の量をLegendre多項式で展開することでn-次元のBoson系を光円錐量子化することを行い、そのような量子化では光円錐量子化の長所と言われる真空構造の簡単化がどのようになるかを考えた。結論として、このような場合でも場の生成・消滅演算子を定義して真空状態を構築できることを示した。場の大域的構造がこの真空にどのような影響を与えていくかを考える基礎となる部分を作ることができたことになる。 なお、研究の成果は1998年春の日本物理学会で発表し、論文にまとめる予定である。
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