研究概要 |
Eric D'Hoker氏と共に自由度の多い(1<c<25)非臨界弦の高エネルギー散乱の振舞を第一原理より求めた.その結果,非臨界弦は高エネルギーで指数関数的に小さい散乱振幅を持つことが明らかになった.この物理的意味は,非臨界弦は張力により決まる自然な長さのスケールより小さいスケールでは物理的自由度を持っていないと解釈できる.非臨界弦のダイナミックスの解明に寄与したと考えている.結果を導く過程で高エネルギーにおける非臨界弦の相関関数を系統的に計算する手法を開発した.この手法は超対称性のある場合,弦の摂動論のより高次の項の計算,などに自然に拡張されると思われるのでさらなる発展が期待される. スカラー場の3点相互作用による重い粒子のnon-decoupling効果を系統的に解析した.今までには,次元がない相互作用のみがnon-decoupling効果を生じると書いている論文もあり,次元を持つスカラー場の3点相互作用がnon-decoupling効果を生じることを明らかにしたことも有意義だと思われる.スカラー場の3点相互作用は超対称標準模型で一般的に現れる相互作用である.non-decoupling効果は実験と理論の比較で重要な役割をこれからも果たすので,この結果は現象論的にも重要だと思われる. 近年,超対称性を一部自発的に破ること状況があることが指摘されており,これは今までの常識に反する事実である.どのような状況で部分的自発的な破れが生じるのかといった面について研究を続けている.特殊な状況以外では部分的な自発的破れは生じないことを突き止めており,近日中に発表する予定である.
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