研究概要 |
g_2(x,Q^2)のフレーバー一重項部分の任意次数のモーメントの場合に、対応するツイスト3局所複合演算子の独立な組の異常次元行列の計算を進めた。"射影の方法"により、ゲージ不変でない演算子のoperator mixingを完全に除く事が可能となった。フレーバー非一重項部分の場合に比べ計算は格段に複雑であったが、11個の1ループ・ダイアグラムのうち7個のダイアグラムの計算を完了し、これらの結果はBukhvostov,Kuraev,Lipatovの軸性ゲージでの計算結果と一致する事を確認した。残りの4個のダイアグラムの計算も今後完成させていく。 また、g_2(x,Q^2)と同様の手法で解析が可能な2つの問題に取組み成果をあげた: 1. ベクトル中間子の光円錐波動関数の系統的解析を行い、ツイスト2及び3の独立な波動関数の組をQCDに基づいて導出した。特に、波動関数のコンフォーマル部分波展開の方法を発展させた。QCD和則による非摂動的な行列要素の評価も行い、QCDの運動方程式が与える関係式を各コンフォーマル部分波ごとに完全に満たす光円錐波動関数を求めた。結果は現象論的応用に直接役立つ解析的な表式で提出した。 2. ベクトル中間子のツイスト3光円錐波動関数のQ^2-依存性を導出した。波動関数の任意のコンフォーマル部分波に対して、対応するツイスト3局所演算子の独立な組の異常次元行列を"射影の方法"を用いて計算した。得られた異常次元行列のN_e→∞及びj→∞極限を考察し、光円錐波動関数のQ^2-依存性においても、構造関数の場合と同様の著しい簡単化が起こる事を示した(ただし、jはコンフォーマル・スピン)。また、QCDの持つ近似的対称性に基づいて、光円錐波動関数と構造関数の間には、Q^2-依存性について一般的な対応関係がある事を明らかにした。この結果から、核子のツイスト3構造関数g_T(x,Q^2)の奇数次のモーメントに対する異常次元行列も決定、確立した。
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