Bメソンの崩壊を通じて標準模型のパラメタの決定を行なう際には、崩壊構造関数の理論的な決定が不可欠である。格子QCDの数値シミュレーションはこれを可能にする有力な方法の一つであり、ここ数年間にわたって私自身を含む世界中の研究者によって研究が積み重ねられてきた。 まず、bフォークという重い粒子を格子上で効果的に扱う方法は、ほぼ確立され、これに関する系統誤差は非常に小さく抑えることができる。私自身を含む日本のグループは、これにもとづいてBメソンの崩壊定数の計算を行ない、10%以内の誤差でこの量を決定することに成功した。 つぎにセミレプトニック崩壊の構造関数の精密な計算のための準備を始め、いくつかの予備的な研究結果を得られた。半年間の短い期間の研究であったため、残念ながら最終結果を得るには至っていないが、今後もより精密な計算のために研究を続ける必要がある。
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