研究概要 |
本研究は、CO_2-H_2O包接化合物の弾性的性質を温度・圧力を環境変数として決定し、海底環境下における包接化合物の構造安定性を予測することを目的とする。今年度の研究計画に従い、以下の研究を行った。 (1) CO_2及びH_2O試料を低温サンプリング法を改良して高圧ダイヤモンド・アンビル・セル(DAC)に適当な量比で封入することに成功した。この混合試料にたいして昨年度作成したペルチェ素子を用いた簡易型低温装置を用いて温度・圧力を制御し、約273K.0.5GPaでCO_2-H_2O包接化合物の作成に成功した。CO_2-H_2O包接化合物の同定にはラマン散乱分光測定を用い、DAC試料室で液体CO_2と液体H_2Oの境界に多結晶状態のCO_2-H_2O包接化合物か存在していることが分かった。 (2) CO_2-H_2O包接化合物の弾性的性質を正確に決定するためにはDAC試料室中でブリュアン散乱測定が可能な大きさの単結晶を作成する必要がある。この目的のために様々な温度・圧力条件下で単結晶作成を試みだが、一旦作成されたCO_2-H_2O包接化合物がCO_2とH_2Oの化合を妨げるため、容量の少ない試料室で大きな単結晶を作成することは非常に困難であることが分かった。この解決策としてCO_2-H_2O包接化合物の障壁を破壊する方法、H_2O中のCO_2含有量を増加させる方法、等を現在検討中である。 (3) 本研究より、多結晶CO_2-H_2O包接化合物の弾性的性質の決定が可能であることが分かった。しかしながら、より正確な弾性定数の決定を行うためには、(2)で述べた解決策を構築する必要がある。 この他に、CO_2と純水(H_2O)を正確な量比でDACの試料室へ封入することができるガス試料封入装置の作成、CO_2-H_2O包接化合物の弾性的性質の研究に必要な情報を与える水素結合系分子性物質HCl,HBrの光散乱測定を行った。
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