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1997 年度 実績報告書

リチウム遷移金属酸化物におけるリチウムイオン伝導のNMRによる研究

研究課題

研究課題/領域番号 09740246
研究機関徳島大学

研究代表者

中村 浩一  徳島大学, 工学部, 助手 (20284317)

キーワードリチウム遷移金属酸化物 / イオン運動 / 核磁気共鳴法
研究概要

リチウム遷移金属酸化物であるLiCoO_2及びLiNiO_2のリチウムイオンの拡散現象を微視的な観点から調べるためLi核のNMR緩和時間及びナイトシフトの温度変化の測定を行った。
LiNiO_2とLiCoO_2のスピン-格子緩和率1/T_1は室温以上の高温領域でリチウムイオンの運動による緩和機構により支配されている事が明らかになった。イオン運動による緩和のモデルであるBPPモデルによる高温領域での解析からイオン運動に伴う活性化エネルギーは0.08eV程度と見積もられ、これらの系においては非常にイオン拡散しやすい状態が実現されていることがNMRの結果からも明らかになった。低温ではLiNiO_2における1/T_1は磁気的なNiイオンのスピン相関の影響を強く受けていると考えられる。Liの欠損に伴い、Li_xNiO_2(x=0.8,0.6)では緩和率の増大は大きく抑制された。非磁性Ni^<4+>の導入によりスピン相関が弱められたことによると考えられる。こうした傾向はナイトシフトにも現れ、Li欠損に伴い大きく抑制された。
LiNiO_2とLiCoO_2のスピン-スピン緩和率1/T_1は測定範囲ではほとんど温度に依らず、Li核の双極子相互作用による緩和を仮定した場合とほぼ一致する。これに対してLi欠損した系では1/T_1と同様に1/T_2の値の急激な減少が観測され、Li欠損した系ではmotional narrowingの効果が顕著に現れると考えられる。緩和率の温度依存性からはLi欠損に伴い、Liイオンの運動の効果が大きく現れると考えられ、これは拡散係数における傾向と一致している。LiNiO_2はその組成比のずれによる磁気的な影響が低温でのイオン拡散の寄与を容易に隠してしまうが、磁気的な影響を抑えることにより本質的なイオン拡散の様子が明らかになってくると考えられる。

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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