(1)原子層エピタキシ-法により作製したp型変調ドープ量子細線構造試料の発光スペクトル中の重い正孔、軽い正孔それぞれに起因するピーク位置及びスペクトル幅の温度依存性、磁場依存性を測定し、試料を忠実に再現する高次差分法を利用した自己無撞着ハートレー計算の結果と比較した。量子細線構造とドーパントイオンとの間の距離に依存して電子・正孔のエネルギー、フェルミエネルギー、磁場によるエネルギーシフトを計算により求めて実験との比較を行い、実験をよく再現することを示した。 (2)InP/GaInP半導体量子ドット試料の強磁場下における光強励起により、半導体量子ドット中の電子・正孔濃度を連続的に変化させて発光スペクトルを観測した。強磁場下(40T)においてランダウレベル高い励起状態にまで観測されたことにより、本試料中においては波動関数は半導体量子ドット内で自由電子的に振る舞い、不純物イオンの影響は押さえられていることを示した。また、発光スペクトルのピーク位置が光励起強度に対してエネルギーシフトしないことを見い出した。 (3)n型変調ドープ量子井戸上に電子線リソグラフィー法によりメッシュ状電極構造を作製し、その電極構造にバイアス電圧を印加して約100nmの量子ドット正方格子を作製した。この試料からの発光スペクトルを顕微分光法を用いて観測した。バイアス電圧を変化させることによりドーパントイオンの分布が変化し、その影響を発光スペクトルから分析した。
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