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1997 年度 実績報告書

準2次元有機超伝導体の量子ゆらぎによる磁束格子融解転移

研究課題

研究課題/領域番号 09740261
研究機関東北大学

研究代表者

佐々木 孝彦  東北大学, 金属材料研究所, 助手 (20241565)

キーワード有機超伝導体 / 量子磁束液体 / 磁束格子融解転移
研究概要

本年度は有機超伝導体κ-(BEDT-TTF)_2Cu(NCS)_2の単結晶育成を継続的に行い、量子磁束液体状態検証のための準備として微小磁気トルク測定用トルクメーターの作製、希釈冷凍機への組み込みを行い、予備的実験を行った。単結晶育成ではこれまで行っていなかったBEDT-TTF分子の再結晶による精製を行った結果、単結晶試料の品質を向上させることができた。電気抵抗測定による超伝導転移の幅がこれまでの結晶よりも格段に狭く(約0.2K)なった。また低磁場(200G以下)での電気抵抗の温度変化を詳細に調べ急激な抵抗の変化が現れる温度が磁化の不可逆磁場温度とほぼ一致していることが分かりこの磁場温度が高温での熱ゆらぎによる融解転移点と考えられることが分かった。現在詳細な電流電圧測定などを行っている。希釈冷凍機温度での磁気トルク測定からは1K以下での不可逆磁場は温度に比例した振る舞いを示した。絶対零度へ外挿では約4Tが不可逆磁場になりこれは平均場的臨界磁場の6Tよりもかなり低い磁場である。この間の領域では磁気トルク曲線は可逆であり磁束液体状態であると考えられる。低温でのゆらぎの効果は量子ゆらぎが支配的であると考えられるので、この磁束液体状態は量子ゆらぎに起因する量子磁束液体状態であると考えられる。この量子磁束液体状態が実現していると考えられる温度領域は1K以下である。またこの温度域での不可逆磁化曲線には磁束ジャンプと考えられるノイズが観測される。この温度域での温度による磁束のホッピングは考えにくいので量子トンネル的な機構によるものと考えられる。次年度以降はさらに低温での測定、ノイズ解析などを行う予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] T.Sasaki: "Quantum liguid of vortices in the guasi-two-dimensional organic super conductor x-(BEDT-TTF)_2Ca(NCS)_2" Physical Review B. 57(4月号・発表予定). (1998)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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