液体ヘリウムの表面(界面)の研究は、他の液体とは異なり、表面特有の素励起の存在やバルクの素励起がどのように表面に影響を与えるか、という基本的な問題を提起して興味深い。本研究で取り上げる^3He-^4He相分離界面は、圧力を加えることで相分離した2相のバルクの性質を制御できるというユニークな特徴を持つ。 平成9年度は、まず圧力下で0.15Kまでの低温域の界面張力の測定を行い、界面張力の圧力依存性を明らかにした。解明張力は7気圧までの低圧域では圧力の増加とともに減少し、7気圧以上の高圧域では圧力にほぼ依存せず一定の値をしめす。界面張力と^3He準粒子の化学ポテンシャルの圧力依存性から、界面での^3He吸着量を求めることができる。解析の結果、7気圧までの低圧域では、界面張力の減少に対応し^3Heが界面から排除される負吸着が起こっており、その大きさは圧力の増加とともに減少するという知見が得られた。これは、定性的には^3Heと^4Heとの零点振動の大きさの違いにより説明されると考えている。これらの結果は論文として報告した。 平成10年度は、0.15K以下の低温域での界面張力の毛細管上昇法による測定システムの設計・作製を行った。はじめに。測定対象として液体^3Heの自由表面の表面張力を試みた。これまで液体^3Heの表面張力は150mK以下でほとんど温度に依存しないと報告されており、本研究でもほぼ同様な傾向が観測された。現在、界面張力の測定を行なっている。
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