1.静水圧性が高く試料体積が比較的大きい(〜1mm^3)5GPa級の高圧セルを試作し、安定して4GPaの圧力を発生することに成功した。今後、電気抵抗、交流帯磁率、NMR等の測定を行う予定である。さらに高圧下での測定にはDACを用いて、液体圧力媒体中で電気抵抗測定を行うべく微細電極の作成や微小試料への電極の取り付け技術の開発を行っている。 2.ダイヤモンドアンビルセル(DAC)で固体の圧力媒体を用いて20GPaまでの圧力発生を行い、極低温までの電気抵抗測定を行った。 (1)圧力誘起伝導体CeCu_2Ge_2において15GPa近傍でのT_cの顕著な増大および20GPa近傍でのT_cの消失を確認した。10GPa近傍の低いT_cの領域と高いT_cの領域における超伝導の磁場-温度相図はCeCu_2Si_2と類似しており重い電子が一重項ク-パ-対を形成していることが解った。超伝導の消失する領域ではフェルミ液体的振舞(〜T^2)が高温まで観測され、超伝導の出現には強い相関をもった電子が必要であることを示唆している。 (2)重い電子系強磁性体CeRu_2Ge_2の圧力下での磁気秩序の消失を観測し、その臨界点近傍での電気抵抗の振舞を細かく調べた。電気抵抗の磁場変化から磁気秩序が消失する臨界圧力は10GPaと決定した。臨界圧力での電気抵抗は低温でフェルミ液体的振舞(〜T^2)が観測された。超伝導やCeRu_2Si_2に見られるようなメタ磁性的振舞は観測されなかった。
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