研究概要 |
最近,UやCeを含む化合物の中に,低温で通常のフェルミ液体と著しく異なったふるまいをする物質がいくつか発見され,活発に研究されている。これらのいわゆる非フェルミ液体的ふるまいの機構に関する知見を得るため,高圧下での電気抵抗測定等をおこない,あるいは,これまでに,主にT_KやT_Nの体積依存を調べるためにおこなってきた高圧実験のデータを再検討することにより,次のようなことがわかった。 ・Y_<1-x>U_xPd_3はx=0.2近傍で非フェルミ液体的なふるまいを示すが,5.8GPaのρ(T)からYPd_3のρ(T)を差し引いた得た磁気的な寄与(ρ_<mag>)を対数スケールでプロットすると,0GPaでのT-linear依存が,5.8GPaではほぼT^2に比例するフェルミ液体的なふるまいに移り変わることが明らかになった。 ・CePtGaはT_N〜3.5Kで電気抵抗にピークをもつが,高圧下でT_Nは下がり,1.5GPa付近で非フェルミ液体的なT-linear依存を示すようである。 ・T_N〜1.5KのCePtSi_2は,高圧下でT_Nが減少し,測定温度領域内ではあきらかな非フェルミ液体状態は観測されなかったが,6GPa以上ではT^2に比例するフェルミ液体的挙動がはっきりと見られた。より低温の実験をすることにより3GPa近傍でT_Nが消失し非フェルミ液体状態が実現していることが期待される。 このように,構成元素の部分置換によって発現した非フェルミ液体状態や,また,圧力によって磁性を抑制したときに磁性-非磁性転移の近傍で期待される非フェルミ液体状態について,その圧力効果に関する重要な情報が得られ,今後の解析が期待される。
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